機械類が適用すべき規格や法令

2022年3月16日

規格について

さまざまな製品を安全に使用するために、「規格」があります。

例えば日本のコンセントプラグはType A と呼ばれています。国によってプラグ形状が異なりますが、Type A以外のプラグでも、定格電圧と定格電流が確保できれば、無理やり差し込んで使うことは可能です。ただ、本来とは異なる形状のプラグを使用することで発熱や発火のリスクがあり、それは絶対に避けなければなりません。

規格とは、そのようなバラバラの設計によるリスクを回避するために、国や業界団体などが作り上げたものです。

国際標準規格(ISO/IEC)と各国の規格の関係性

『規格について』にあるように、バラバラの設計によるリスクを回避するために規格が生まれたものの、コンセント形状や周波数、電圧などが国によって異なるように、規格が作られた当初のコミュニティは狭く、国をまたいだ全世界共通の規格を作ることはできませんでした。そのため、国によって異なる規格をどのように調整し、安全を確保していくかが世界共通の課題となりました。そういったニーズから生まれたのがWTO(世界貿易機関)であり、1994年のGATTウルグアイラウンドで締結されたTBT協定です。

TBT協定では、ISO/IECという世界の共通規格を作り、各国の規格を整合化する、という合意がなされました。

整合化とは、完全に同じ基準にするのではなく、微調整しながらできるだけ同じ規格にしていく、ということです。

  • ISO:国際標準化機構(International Organization for Standardization)
  • IEC:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)

日本の固有規格であるJIS規格も、TBT協定以降、ISO/IEC の規格に整合化が図られ、ほぼ同じ内容になっています。ただ、特に機械関連分野ではJIS規格の認知度や理解度が低いため、結果的にISO/IECの要求を満たしていない場合が多いようです。近年グローバル化が進み、機械類を世界中に販売することが増えていますので、国際標準規格に沿った設計・製造の重要性がさらに高まっています。

なお日本で新しい規格が浸透しなかった理由については、『かつての日本と世界標準、安全の考え方の違い』をご参照ください。

世界の規格、マーキング、認証機関

『国際標準規格と各国の規格の関係性』にもあるように、ISO/IECに整合化されたとはいえ、各国の規格は若干異なり、また装置の製造・販売・使用で適用される法律やルールがそれぞれの国に存在しています。最も広く認知されているのは、EU域内で必要となるCEマーキングです。

CE規格やCE認証と言われる場合もありますが、CEはマークそのもの、またはマーキング制度を表すものであり、規格でも認証制度でもないため、CE規格やCE認証という言葉は実は正しくありません。

CEマーキングとは

CEマーキングは、欧州で製品を流通させる際に必要となるマークです。

どういった製品に必要で、何をすべきであるかについて誤った解釈がなされることがありますが、CEマーキング制度は、厳密には規則765/2008/ECで規定され、規則2019/1020で改定が加わったルールです。「該当する製品」は、「しかるべき法令や規格」に「適合していることを確認」し、「CEマークをつけた状態で流通させる」ことが規定されています。

該当する製品は、欧州委員会(European Commission)のProduct groupsに記載されています。

制御盤を使用する製品で該当する代表的なカテゴリは、以下の4種です。

  • 機械指令 MD (Machinery directive)
  • 低電圧指令 LVD (Low Voltage Directive)
  • 電磁両立性(EMC)指令 EMC (Electromagnetic Compatibility)
  • RoHS指令 RoHS (Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)

機械指令と低電圧指令はどちらか一方のみ、EMC指令は必須で専門の試験も必要、RoHS指令は大型設備などの除外品目でない限り必須ですが、メーカーの独自の調査のみで問題ありません。その他機械の構成品では、ATEX指令や圧力容器指令、ガス機器規則なども、該当する場合があります。

しかるべき法令や規格のうち、法令とは上記4の指令を指します。指令の内容は、EUのサイトで閲覧可能です。

規格は、その指令の中で規定されている整合規格(Harmonized standard)の中から、各メーカーが製品に該当するものを選択する必要があります。例えば機械指令の整合規格は600種以上あります。どのような製品に該当するのか判断に迷う場合は、認証機関や専門家に相談することをお勧めします。

適合していることを確認する方法は、一般的には自社で全てを確認する「自己宣言」です。詳細は『自己宣言について』をご参照ください。

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