制御盤とは? 歴史と基本構造を知る
制御盤の歴史 「安全がマストになった理由」
制御盤とは、電気で動作する装置の動作を制御するもので、一般的に金属の箱(盤)の中にまとまっています。
装置そのものがシンプルだった時代は、ヒーター単独、モーター単独といったように、部屋の照明と同じように直接動力を切り替えていました。
モーター類の大型化に伴い使用する電圧や電流が大きくなった結果、電源電圧を直接操作するとアークなどのリスクが出るようになり、コンタクタなどの別の操作電圧を利用して電源回路の切り替えを行うようになりました。
装置が徐々に複雑になるに従い、複数のモーター類を組み合わせて加工することが必要となり、その結果、操作が煩雑となって操作ミスによる事故が増えました。
そこで、センサー類を利用した自動動作という方法が取られるようになりました。
その後、さらに複雑な動作をする装置が必要になると、リレー回路が一気に複雑になり、コストが大幅に増加しました。
それを解決するものとしてコンピューターが生まれ、産業用の制御装置であるPLCが誕生しました。複雑な回路は、コンピューター制御により、センサーやスイッチを入力回路として取り込んでリレーやコンタクタへ出力するという単純な回路構成が可能となり、複雑な構造の装置が次々と生み出されました。
その後、タッチパネル操作、遠隔操作、無線操作、スマホ連携、AI連携などさらに高度になると、それらの制御装置の故障によるリスク回避のためにさまざまな安全回路の概念が生み出され、複雑な制御はシンプルに、危険な部分は合理的な安全設計というように発展を続けています。
そもそも制御盤とは?
そもそも制御盤とは何なのでしょうか?制御盤とは、加工や移送などの目的に適合するように機械や設備の自動制御を行う装置のことを指します。
人間で例えると脳の役割をもっていて、エレベーターやポンプ、モーターなど、自動で動く機械・設備の制御には欠かせない装置です。
制御盤と配電盤・分電盤の違い
制御盤について知っていくと、似たような言葉が出てきます。例えば、配電盤や分電盤などです。それらの違いについて簡単に解説します。
配電盤
電気は、送電の際に電圧を高くしたほうが損失は少なくなります。このため、工場など電力を多く使用する施設では、高電圧で送電される電線から電気を受け取っています。しかし、電圧が高すぎると安全に使用できないため、減圧することで適切な電圧に変換する必要があります。
この際、電柱などから電気を受け取り、100Vや200Vといった低圧に変換する役割を持っているのが配電盤です。
配電盤は、変圧器や遮断器、保護継電器、計器類などで作られています。電気の受け取りと変圧を行うので受変電設備とも呼ばれ、また屋外に配置する小部屋のような構造であることから、キュービクルとも呼ばれます。(ちなみに「キュービクルは」和製英語であるため英語圏では通じません)。
配電盤はコンビニの脇やビルの屋上など、比較的大きな電力を消費する設備に設置されます。
一方、家庭用の電気使用量は少量のため、電柱の上に設置されている柱上トランスにより減圧され、使用する電圧に変換された電源が各住宅へと供給されています。
分電盤
住宅やビル、工場などの建物にはブレーカーと漏電遮断器がついた箱が設置されています。電気を使いすぎるとブレーカーが落ちて停電することがありますが、ブレーカーを上げれば再び電気が流れます。
この箱は分電盤と呼ばれており、配電盤の下流(二次側)に設置されます。この分電盤は、使用電力を規定値以下に抑え、漏電や短絡による事故を防ぐ共に、配電盤から供給される電気をそれぞれの回路に適切に振り分けています。制御盤にもこの分電盤の機能が内蔵されています。
制御盤
そして、分電盤などから供給される電気を受け取り、機械などを制御するために作られた箱が制御盤です。
機械を動かす際には、シーケンス制御と呼ばれる制御方法がよく使用されています。
エレベーターや産業用のロボットなど、自動で動作する機器に使用されており、JISの定義では「あらかじめ定められた順序又は手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御」とされています。つまり、あらかじめプログラムを組んでおき、そのプログラム通りに電気を制御する方法です。
このシーケンス制御を行う際にプログラムを実行する機器は、PLC(Programmable Logic Controller)やシーケンサと呼ばれています。
制御盤を構成する電子部品
制御盤は様々な電気、電子部品から構成されています。今回は、制御盤に使用される代表的な機器をご紹介します。
ブレーカー
ブレーカーは電気をつかいすぎたとき(過負荷)に遮断するものというイメージが強いですが、電気安全的にはその機能よりも短絡した際に流れる大電流を安全に遮断し、回路や作業者を保護するという役割が重要です。
ブレーカーは一定以上の電流が流れるとトリップしてオフになります。これにより短絡事故を防ぐと共に、電力消費の異常上昇も管理できます。
漏電遮断機(ELB)は、ブレーカーに漏電時の不平衡(電流がどこかに漏れていること)を感知して遮断する機能を追加したもので、感電による重大な事故を防止します。
リレー
リレーは制御回路で使用されるスイッチです。
電磁リレーとも呼ばれており、電磁力でオンとオフを切り替えることで、電気信号を伝達することができます。
タイマー機能を持ったものなどをうまく組み合わせることで、複雑な動作を実現できます。
UPS
UPS(無停電電源装置)とは、バッテリーとインバーターなどを組み合わせたもので、停電などで電源を喪失した場合でも、電源が切れることなく一定時間電気を供給し続けることができる装置のことです。
電源トラブルを防ぐためには、欠かせない装置です。
その他の構成部品
そのほかには、モーターを複雑に動作させるためのドライバー、通電しているかどうかを確認するためのランプ、モニター用の電流計や電圧計、盤内を冷やすための空冷ファン、制御盤を制御するためのスイッチ、タッチパネル、使用中に扉が開いたことを感知するためのセンサーなども使用されています。
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