解説 「接地」に関する用語

2025年12月17日

制御盤に関する用語は聞き慣れないものや紛らわしいものが多くあります。 

ここでは、基本的なものも含めて、制御盤に関連する用語を解説します。 

接地とは文字通り配線を地面に接続することで、アース配線と呼んだりします。  

感覚的には、電気が地面に逃げてしまってうまく動作しないと感じるかもしれませんが、電気は「回路」つまり輪にならないと流れないため、一か所接地しただけではそのようなことにはなりません。  

逆に、特定の箇所を接地することで、感電防止や動作の安定につながります。  

感電を防止するための接地を保護接地、動作の安定化などのための接地を機能接地、と呼びます。  

保護接地

漏電したときに感電しないために行う接地です。  

モーターなど、ほとんどの産業用機器や装置は金属で構成されているため、漏電につながるような故障が起きた場合、感電のリスクがあります。  

そのため、予め電源側のどこかを接地しておき、そのうえで装置側の触れる可能性のある金属を全て接地することで、漏電した瞬間に地面に電気を流すことで、漏電ブレーカーもしくは一般的なブレーカーが安全に電源を遮断します。  

このような目的のための接地を保護接地と呼びます。  

IECやJISなどの規格では、保護接地は緑と黄色の電線色が必須とされ、他の回路ではその色を使用することが禁止されています。  

機能接地

保護接地ではない接地のことで、制御回路の片側接地、シールド線の接地、アナログ回路の片側接地、基盤類の0V電位を決めるための接地など、制御回路等の動作を安定化するために行う接地のことを、機能接地を呼びます。  

なお、AC100V制御回路の片側接地については、感電防止のための保護接地と、制御回路の誤動作防止のための機能接地の両方の意味を持ちます。  

他にもある 接地関連用語

ボンディング

装置フレームなど密着させることで構成される回路で、接着剤と同じ単語です。  

電位差をなくすことが目的で、必ずしも地面に接続するものではありませんが、一般的には保護接地(PE)に接続します。  

機械的接触やアース線などの導体で構成された接地回路のことを、ボンディング回路と呼びます。  

特に感電すると危険な回路が漏電した時に安全に短絡させるための回路を保護ボンディング回路といい、機械の導電性構造部分・装置接地保護導体端子・装置接地保護導体(アース線)・装置ボンディングジャンパーで構成されます。  

漏れ電流

ノイズフィルタなどは接地回路に接続しますが、主にコンデンサを挟んで電源回路をそのまま接地するため、地面に対して電流が流れます。  

この電流のことを漏れ電流と呼びます。

インピーダンスの多くはコンデンサ成分であるため、多くは無効電流ですが、大型のノイズフィルタやインバーターなどを搭載する場合は、漏電ブレーカーがトリップしないか注意が必要です。  

余談ですが、三笠精機では過去、大型のノイズフィルタを搭載した盤の通電試験時に、メインブレーカーを入れただけで何も動作させていないにも関わらず、試験用に接続していた小型3相トランスが異常発熱したことがありました。  

よくよく調べてみると漏れ電流だけでトランスの容量をオーバーしていたことが判明しました。  

このことからも、漏れ電流は意外と大きいということがお分かりいただけるかと思います。