制御盤 海外規格 CEマーキング/UL規格対応

CEとULは何が違うのか?
海外規格対応でメーカーが直面する“見えない壁”

東京都 株式会社ニイヅマックス
  • #コンサルティング

「海外規格」の代名詞とも言える「CEマーキング」と「UL規格」。しかし、メーカー自ら安全性を立証し宣言する「CEマーキング」と、第三者機関が適合性を判断する「UL規格」では、当然ながらその対応に違いが生じる。一方で、共通する難しさもある。

今回取材したのは、同じ装置を「欧州」と「北米」へ輸出する際に三笠精機がサポートを担ったケース。メーカーの立場から見た「CEマーキング」と「UL規格」の違い、そこから見えてきた共通の課題について話を聞いた。

「職人の手仕事×積み上げた3DCAD設計技術」が作り上げる高精度部品

株式会社ニイヅマックスは、組立治具や測定検査機器、耐久試験機器など量産ラインで必要となる各種機器の設計・製作の一貫受注を得意とするメーカー。“試作のプロフェッショナル”として市場から認知されている新妻精機株式会社および株式会社アサヒニイヅマのグループ会社として、1987年東京都大田区にて創業した。

同社は新妻精機グループのなかでも、高精度な治工具の設計から製作まで対応する部門として立ち上げられた。現在でも、ニイヅマックスにて設計した部品を新妻精機で高い精度にて製造、それを再びニイヅマックスで三次元測定機により精度調整・測定を行い、組み付けする体制がとられている。

2000年代初頭から3DCADを導入するなど、最新技術の活用に積極的な点も同社の強み。技術部電気制御課 課長の渡部 洋之氏は「3D設計は“頭で理解しやすい”。つまり直感的に把握できるため、2Dより設計時間が短くなります。ただし、導入すればすぐにリードタイムが短くなるわけではありません。使いこなすにはコツが必要です」と話す。今では当たり前となった3DCAD設計技術の蓄積が、もう一つの同社の力の源というわけだ。

(左)長年使い込まれた機器。「最終的に人の手による調整が不可欠です」(渡部氏)。 (右)ガラスの向こうの作業室では、専門の検査担当者が高性能な測定機器を用い調整を行っている。

「ラベル付き部品を使う」だけでは対応しきれない

そもそも同社が本格的に海外規格対応に取り組んだきっかけは「CEマーキング」。当時すでに国内で数台稼働していた実験装置について、「欧州拠点でも使用したい」と元請けから依頼を受けたことが発端である。

結果として装置は輸送中のアクシデントにより設置には至らなかったが、渡部氏は「規格への適合は、弊社だけでは対応しきれないと痛感しました」と振り返る。

当時同社は認証機関に全面的に協力を依頼し、規格で要求される各種試験を実施しながら、適合性評価を進めていた。装置はすでに稼働実績があり、厳しい基準をクリアしていたため、大きな問題はないと考えていたが、「是正リストが出されたのですが、回路の大幅な修正が必要だったり…。とにかく結構な数の“ダメだし”がありました」(渡部氏)という。

認証機関ができることと、できないこと

認証機関の協力を得れば、規格への適合はスムーズに進むと思われがちである。事実同社も「国内仕様の回路図をベースに、認証機関のアドバイスに従って設計変更すれば良い」と考えていた。

しかし、認証機関はコンサルティング業務を行うことができない。第三者としての公平性と独立性を担保する必要があるからだ。

同社も認証機関から適合しているか否かについて回答は得られたものの、「その回路をどう修正したら良いかといった具体的な情報は提示されなかった」(渡部氏)という。三笠精機設計課 チーフエンジニアの三島 佑也も「適切な形で実装するのはメーカーの役割です」と説明する。

この最初の「CEマーキング」対応で、規格そのものと背景にある法律をすべて理解して対応するためには専門サポートが必須との結論に至った同社。数年後、同じ装置を北米に輸出する機械を得たタイミングで規格理解から設計・製造への落とし込みまで支援できるパートナーを探すなか、三笠精機を知り依頼することとなった。

さらに北米向け輸出が完了した後、再び欧州の拠点への設置の話が持ち上がり、今度は三笠精機サポートのもと「CEマーキング」への対応を行うこととなった。

同じ装置を同一企業がサポートし、異なる地域に輸出することになったわけだが、そこに違いはあったのだろうか。

「私の感覚では、CEのほうが複雑で難しい印象があります。やるべきことは理解できても、例えば書類やドキュメント類まで、『本当に正しいのか』との確信が持ちにくいんです。設計だけでなく、ドキュメントまで丁寧に対応していただいた三笠精機のサポートは大きな助けになりました」(渡部氏)。

「安全への意識は、国内外で高まっている」

その一方で両規格への対応は、共通の課題もあるという。

「装置をつくる我々も発注元の技術担当者も明確な答えを持っているわけではありません。この“空白”を埋める人材が不足しており、皆が手探りで進めているという感覚があります」(渡部氏)。

同社は今回輸出した装置をはじめ、「この精度は他社では実現できない」と評価されて依頼を受けることが多いという。そうした経験を背景に、渡部氏は安全意識の変化を実感している。

「海外に限らず、国内でも安全に対する意識は高まっています。例えば『安全装置を必ず入れて下さい』との要求があったり、あらかじめ基準を提示されたうえで設計を依頼されるケースも増えています」(渡部氏)。

規格は単に従うべきルールではなく、その背景には明確な意義がある。人体に関わる重大事故のリスクがある以上、安全を考慮した設計を行うことは当然ともいえる。設計・製造の現場がアップデートされ続ける今、規格の本質を改めて見直すことが求められている。

「規格は、誰もが安全に機械・装置を使用するために定められたものです。安全を担保することは、作り手の責任でもあります」との言葉には、高精度装置を手がける当事者としての重みがある。

「お客さまの信頼に応えるためにも、規格への意識を持ち続け、より良い装置をつくり続けていきたい」と、渡部氏は結んだ。

技術部電気制御課 課長 渡部洋之氏。製造部門に入社後、研修で山形から東京に来た際、「ニイヅマックスで設計を担当してほしい」と打診されたという。

■株式会社ニイヅマックス

〒146-0093 東京都大田区矢口2-2-27

冶工具・検査工具・省力化機器設計製作

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