短絡電流値SCCRとは?

2022年3月12日

アメリカ向けの電気設計を行う上で、特に気を付けるべきキーワードがSCCRです。 

SCCRが低い装置はアメリカで使用することが難しくなります。 

そもそもSCCRとは?

SCCR値とはShort Circuit Current Rating(短絡電流定格、遮断電流定格)、すなわち、各動力回路機器が持つ短絡電流に耐えうる限界の電流値のことです。「耐えうる」とは、その機器が壊れたとしても、燃えたり飛び散ったりといったように隣接するその他の機器へ危害を及ぼさないことを意味します。 

機械類の電気規格では装置全体でのSCCRの定義が求められ、電線やコンタクタなどを含めてどの程度の短絡電流に耐えられるかを算出する必要があります。 

米国の制御盤規格であるUL508Aにはその決定方法が明記されており、装置のSCCRは定格銘板等に記載する必要があります。 

「SCCRが低い」は何を意味する?

装置のSCCRが低いということは、大きな短絡電流が流れると適切に遮断できずに燃える可能性がある、ということです。 

短絡電流は、設備の電源トランスの最大変換量にほぼ比例しますので、大規模工場の変電設備など、トランスが大きい場合は要求されるSCCR(AFC: 利用可能短絡電流)も大きくなります。 

NEC (NFPA 70) の110.10 では、AFC以上のSCCRがある設備しか設置してはならないと規定されているため、SCCRが低い装置はユーザーの選定条件から外れることになります。 

ヒューズやトランスなどをうまく使用することでSCCRを高めることができます。つまり、65kAや100kAなど高いSCCRに対応した制御盤も製造可能だということです。

「正確なSCCRの決定」と「最適な回路構成」ができることが、アメリカ向け電気設計では重要なポイントとなるのです。