「規格」とは? 国際規格の歴史を紐解く
規格は何のためにあるか?
さまざまな製品を安全に使用するために、「規格」があります。
例えば日本のコンセントプラグはType A と呼ばれ、アメリカと同じ形状です。ちなみにEU諸国で主流なのはType Cとプラグの形状はさまざまです。極端なことを言えば、他の形状のプラグであっても定格電圧および定格電流さえ確保できれば製品は動きますが、正常に稼働するかどうかは別問題です。
特に「接続はできるが実は形状が少し異なっており、使用している間に発熱・発火する」といったことは絶対に避けなければなりません。
規格とは、そのようなバラバラの設計によるリスクを回避するために、国や業界団体などが作り上げたものです。
■世界各地で違うコンセントプラグ

しかし、コンセント形状や周波数、電圧などが国によって異なるように、規格が作られた当初のコミュニティは狭く、国をまたいだ全世界共通の規格を作ることはできませんでした。
WTO、ISO、JIS規格…意外と知らないそのつながり
そのため、国によって異なる規格をどのように調整し、安全を確保していくかが世界共通の課題となりました。そういったニーズから生まれたのがWTO(世界貿易機関)であり、1994年のGATTウルグアイラウンドで締結されたTBT協定です。
■GATTとWTOの概要

TBT協定では、ISO/IECという世界の共通規格を作り、各国の規格を整合化する、という合意がなされました。なおここで言う整合化とは、完全に同じ基準にするのではなく、微調整しながらできるだけ同じ規格にしていく、ということです。
なぜ、海外規格への対応が必須となったのか?
日本の固有規格であるJIS規格も、TBT協定以降、ISO/IEC の規格に整合化が図られましたが、完全に一致しているわけではありません。また、北米や欧州では規格適合のルールが明確になっており、原則不適合製品の販売や使用は認められておりません。
近年グローバル化が進み、機械類を世界中に販売することが増えています。そのため、国際標準規格に沿った設計・製造の重要性がさらに高まっていると言えるでしょう。
制御盤と海外規格 大辞典
- 制御盤と海外規格 Q&A Q DC24Vのセンサーやバルブも「CEマーク付き」であることが必要でしょうか?
- 制御盤と海外規格 世界の規格、マーキング、認証機関
- 制御盤と海外規格 機械類に必要な3つのマニュアル
- 制御盤と海外規格 海外規格にあたって注意すべき3つのポイント
- 制御盤と海外規格 適合の基本原則「優先すべき規格」「適合させるべき規格」とは?
- 制御盤と海外規格 理解すべきマイナー規格とは? 『UL508A』『NFPA79』以外の規格を解説