制御盤 海外規格 UL508A 規格対応

制御盤の設計コンサルティング、製造、UL認証ラベルを貼る最終段階までのトータル対応

埼玉県 検査機器メーカー・N社様
  • #コンサルティング

導入前の課題(今回の依頼内容)

検査機器メーカー様からの依頼。薬品用ピンホール検査機をアメリカへ輸出するにあたり、制御盤のUL508A規格対応で、制御盤の設計コンサルティング、製造、UL認証ラベルを貼る最終段階までの一連の対応を依頼いただいた。

導入効果

アメリカに輸出する装置の制御盤には、基本的にUL508A(*1)への規格対応を行うことが推奨される。弊社はUL508Aの認証ラベルを貼り付けることが可能であり、そのラベルが添付された製品は、現地監査での評価を免除される(UL508A以外の規格要求事項はその限りではない)。

UL508A認証制御盤は、UL認証の制御部品で構成する必要がある。弊社でも当然、この原則を満たした設計・製造を行っているが、時にこれが高いハードルになることがある。今回ネックとなったのは、お客様の制御盤の中に組み込まれた独自開発基板。これを残したままでは、UL508A認証制御盤はUL認証の制御部品で構成するという原則を満たせず、UL508A認証ラベルを貼ることができない。

こうした場合、まずは独自開発基板を流通品で代替できないかを検討する。ところが今回の基板は完全に独自の機能を持っていたため、当てはまるパーツがなかった。次の選択肢は、独自開発基板の評価をULに依頼し、UL認証パーツと同様の認定を得ることだが、これには高額な予算と半年を超える期間が必要で、お客様の条件とは合致しなかった。

そこで弊社では、独自開発基板だけを制御盤の外に出すという選択肢を取った。制御盤のすぐ近くに、独自開発制基板を収納する別のボックスを設けた。若干イレギュラーな対応ではあるが、このボックスのリスクアセスメントをしっかりと行えば、AHJ(*2)との交渉が可能となってくる。制御盤本体はUL508Aのラベリングで適合性を証明し、別置きのボックスについては、万が一ボックスから火が出ても安全だといえるレベルまでエビデンス収集を行い、お客様にもAHJ対応についてのアドバイスを実施した。結果として、無事にAHJの査察をクリアすることができた。

独自開発基板を制御盤内に配置するとUL508A認証ラベルを貼付できないため、AHJのチェック項目が制御盤全体に及び、本来問題のない箇所にまで指摘が入るリスクが生じる。若干イレギュラーな対応ではあるものの、今回は制御盤の外に出すのが最善の方法だと弊社では考えた。

このように現地でのリスクを多面的に理解することで、対応方法を検討する際の優先順位を明確にすることができ、柔軟な提案がお客様に提示することができる。今回の対応はお客様にも大満足いただき、その後何度も類似の依頼をいただくことができた。

ULラベル
  • *1 UL508A:アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.:UL)が定める製品安全規格ULのうち、産業用制御盤に対する規格
  • *2 AHJ(Authorities Having Jurisdiction ):現地監査機関または規定執行官。設備稼働前に、現地にて据付検査を実施する。
https://www.seigyobann.com/wp/wp-content/uploads/2022/03/ico_service_international.svg

制御盤海外規格

数多くの海外規格案件をサポートした実績に基づき、海外規格に適合するための設計変更に加え、制御盤を搭載する装置全体に対する電気面、ハード面でのコンサルティングに幅広く対応いたします。
規格要求の厳しい欧州向けCEマーキング対応した案件について多数の実績があるため、ご相談いただく個別の案件においても的確かつ迅速な対応が可能です。また北米向けのUL508A認証制御盤の製造についても多数の実績がございます。
海外規格に適合した設計とともに、マニュアルを含むドキュメントの作成・整備、顧客との契約上の注意点や海外に装置を輸出する上での全般的なコンサルティングを提供いたします。

海外規格を詳しく見る