制御盤海外規格 CEマーキング対応

製品ラインアップ全体の規格対応を代表機種3つの自己宣言で達成することで費用とスケジュールの大幅短縮

静岡県高精度位置決めステージの装置部品メーカー・S社様

導入前の課題(今回の依頼内容)

高精度な位置決めステージなどを製造されている部品メーカー様からの依頼。高精密位置決めステージのラインナップ全体を対象としたCE(*1)規格対応を依頼いただいた。
海外規格対応サービスの依頼は機械装置メーカーからいただくことが多いが、部品メーカーの依頼に対応ささせていただくこと事例もあり、問題なく対応させていただいている。

導入効果

まずは、CEマーキング対応を実施する機種の選定を行った。今回は製品ラインナップ全体の規格対応が最終ゴールだが、一つひとつ自己宣言していては莫大な費用がかかり、お客様の負担が大きくなる。またお客様は製品を輸出できるようにするだけではなくCEマークを表示することも重視されていた。そこで、製品を構成するモーターやセンサーなどのバリエーションに着目した。その掛け合わせを網羅できる代表機種を3つ選定し、この3機種の自己宣言をもって、類似構成であるラインナップ全体の自己宣言を達成する方法を提案した。

機械装置にCEマーキング表示をするには、主に、機械指令または低電圧指令、電磁両立性指令を満たす必要がある。その中で、機械指令には基本要件を規定したANNEXⅠ(*2)とEN60204-1を、低電圧指令には電気安全の一般要求事項を規定したEN60204-1(*3)を適用するケースが大半である。一方で、今回の対象は最終製品ではなく半製品であり、ANNEXⅠとEN60204-1の組み合わせでは、不十分な評価しか実施できないという問題点があった。

そこで弊社から、低電圧指令の整合規格であるEN61010-1(*4)の適用を提案した。EN61010-1は測定機器や制御ユニットなどの整合規格で、用途的に精密位置決めステージにも適しており、加えて、機械としての安全性も規定しているため、機械・電気の両面から評価ができるというメリットもあった。

EN61010-1の適用決定後は、弊社セーフティアドバイザーが同規格に基づいたリスクアセスメントを実施し、並行して試験用コントローラとなる制御盤も速やかに設計・製作した結果、第三者認証機関による試験はEMC(*5)も含めて無事にクリアし、精密位置決めステージ全機種の自己宣言を完了することができた。

今回の案件でのポイントは、EN61010-1の適用を提案できたことに尽きる。弊社では普段から多くの装置や部品のCEマーキング対応を手がけているため、より確かな機械的・電気的認証が可能な規格を選ぶことができた。対応する規格が1つですめば、低コスト・短納期にもつながる。今回は通常であれば半年以上かかる内容であったが、2ヶ月で自己宣言を完了させることができた。お客様の要望を十分に理解した上で最適な提案を行うことで、お客様にも大変ご満足いただくことができた。

*1 CE（European Conformity）：EU圏で流通する製品が満たさなければならない欧州規則・指令（法律）。製品の規格対応を適切に行い、その証拠となる書類を揃えて“自己宣言”することで初めて表示が可能となる
*2 ANNEXⅠ：EU機械指令付属書Ⅰが定める、機械類の設計と製造に関する必須健康安全要求事項
*3 EN60204-1：機械安全、機械の電気機器－第1部一般要求事項。幅広い機械装置の整合規格で、低電圧指令と機械指令の両方を規定している
*4 EN61010-1：計測、制御及び試験所使用電気機器の安全要求事項－第1部。低電圧指令のひとつで、主にラボなどで用いられる機器に適合する
*5 EMC（Electromagnetic Compatibility）指令：電磁両立性指令。電磁波干渉による危険や装置障害のリスクがあるすべての電子・電気機器に適用される